九谷焼の器でフレンチをいただきながら、その器の作家・山岸大成さんにお話を伺う『九谷焼の器でいただくオシャレなフレンチディナーの夕べ』が、プランタン銀座のアンジェリーナで開かれると聞いて、「なんだかオモシロそう」と軽い気持ちで参加しました。
自称「趣味:料理」の私にとって、お皿とは…頑張って作った料理をのせるもの。選ぶ基準は、大きさや、レンジや食洗器に対応できるかどうかが優先で、デザインや素材感は二の次、という感じでした。
ところが山岸先生のお話は、そんな私の考え方をビリビリ刺激してくれちゃいました。
「今、日本人の食卓は白い皿が隆盛で画一的。一昔前は、どこの家庭も父親が好みの器を収集していて、それを使っていた。食生活がこれだけ豊かになったのだから、各自が好みで選んだ器に料理を盛る文化がもっと見直されてもいいのではないかと思うんですよ」
「僕は今の時代に合った九谷焼を作りたいんです。だから僕の作品は色が淡い。昔の日本家屋は薄暗かったから、その中で印象付けるために、色彩がはっきりくっきりしていた。けれど、今の住宅は照度も上がり白壁で明るいでしょ。濃い色味だとしっくりこないんですよ」
「九谷焼というと、九谷五彩の色彩豊かでデコラティブなものを連想される方が多いと思いますが、それは江戸末期から大正にかけて、海外への輸出を意識してつくるようになったから。一つの作品にさまざまな技術を詰め込みすぎたんです。またそれが、海外でも好評だったためにイメージが定着してしまいました。でも本来それは日本人が好んで使っていたものではなかった。九谷焼には、もっといろんなバリエーションがあることを知っていただきたい」
さらに、古九谷(こくたに)と呼ばれる九谷焼の発祥の由来や、有田焼との密接な関係、先生のアイデアの源について、市場の動向について…。楽しいお話を次から次へと聞かせてくださいます。51歳の若さながら日展の評議員も努める高名な方にも関わらず、気軽に初心者にも分かりやすく教えてくださるので、どんどん惹きこまれてしまいました。
もちろんお料理も美味。アンジェリーナの塩川グランシェフが器にインスパイアされて作ったお料理は、加賀蓮根や金時芋、金時草など、九谷焼のふるさと、石川県加賀地方の地の物をふんだんに使っています。楽しいお話と美味しいお料理であっという間に時間が過ぎて、私の器に対する価値観が大きく揺さぶられた貴重なひとときでした。私もお料理の味や見た目を楽しむのと同じように、器を愛でる楽しみも分かる人になりたいな、と思いました。
山岸先生をはじめ、九谷焼の伝統を紡ぎ続ける作家たちの作品を紹介する『九谷焼 陶芸作品展』は、10月29日(月)までプランタン銀座本館6Fアートギャラリーにて開催中です。また、本館2Fサロン・ド・テ アンジェリーナでは同じく29日まで、『九谷焼でいただくカジュアルフレンチZEN』(3,150円)を数量限定でご用意しています。ご興味のある方は是非お立ち寄り&ご賞味下さい。